キネマ通信ブログ
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KAVC映画ページ

※当館は火曜日休館です。火曜が祝日の場合は翌日の水曜日を休館します。

☆印はweb割対象作品です。割引は作品によって割引額が異なります。KAVC映画ページにてご確認下さい。

2010年2月(9日,16日(火)休館)

"モクワリ"木曜日はサービスディにつきどなた様でも1000円

*「ライブテープ」2月6日(土)上映終了後、松江哲明監督と前野健太さんによる舞台挨拶(+ミニライブ)予定*

「地下鉄のザジ」は完全修復ニュープリント版です。

「バグダッド・カフェ」はニュー・ディレクターズ・カット版です。

2010年3月(2日,9日,16日(火)休館)

"モクワリ"木曜日はサービスディにつきどなた様でも1000円

◎は「ヴィターリー・カネフスキー特集上映」です。

 以降のラインナップ

 ※日付のない作品は調整中です(やむを得ない事情で変更の可能性もございます。)

近日公開(2010年〜上映予定作品)

「ドキュメンタリー 頭脳警察」

「海角七号 君思う、国境の南」

「ユキとニナ」

「赤と黒 デジタルリマスター版」

+「ジェラール・フィリップ没後50年特別企画特集上映」(7作品)

「倫敦から来た男」

「海の沈黙―デジタルリマスター版―」

「抵抗 死刑囚の手記より」

「特集上映「ジャック・ロジェのヴァカンス」

「ブルー・ゴールド/狙われた水の真実」


※各映画の詳細は、「KAVC映画ページ」へ

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KAVCキネマ通信

神戸アートビレッジセンターの映画ブログです。映画上映企画・KAVCキネマの耳より情報、こぼれ話映画話などをいち早くご紹介します。


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今、僕は

2009-07-24(Fri) 15:49
 ひきこもりの人たちというのはおもてに出てこないから「ひきこもり」なのであって、言葉はよく聞くけれど、実生活で会うことはないんじゃないでしょうか。想像するしかないから、情報も画一的になる。ひきこもる個々人の事情や思いが千差万別であっても。

 私事ですが、高校生のとき亡くなった叔父は、40を過ぎても祖母と二人暮らしで、毎日何をするでもなく食事のときだけ部屋から出てきて、食事が済むとすぐ部屋に戻っていく人でした。けれど子供には優しくて、祖母の家に遊びに行くたび、よく将棋や散歩に付き合ってくれました。当時は「構ってくれる大人」という認識しかなかったのですが、今思えば完全にひきこもりですよね。でも記憶の中には金歯を見せて笑っている印象しかないので、「ひきこもり」に付いて回るはずのネガティブなイメージは薄いのです。

 「今、僕は」は、(世間の、わたしの)「ひきこもり」イメージから欠落した生々しい生活感を見せつけます。主人公の悟はゴミの散乱した部屋でゲームと寝ることに終始し、母親とも極力話さない。感情を表す機会もない。昨日と今日と明日の境界も曖昧な日々。
 そこへ母親の友人・藤澤が現れ、悟を強引に連れ出し、自分の職場のワイナリーでのアルバイトを決めてしまう。もちろん社会経験のない悟だから、仕事をする上でのコミュニケーションなんてとれない。静かな苛立ちを募らせる悟。その苛立ちが、悟が初めて見せる人間らしい感情だが、実際に悟に変化を迫るのはワイナリーでの経験ではなく、思いもよらない出来事。

 結末には、「やっぱり荒療治しかないのか・・・」という無力感を覚えてしまいそうになりますが、逆に人には絶対に変われる可能性がある、という監督のある種ポジティブな主張ともとれます。ちなみに監督は主演も兼ねています。映画監督という人まみれになる仕事と、悟の演技とのバランスをどうやってとっていたのか、興味津々です。


※上映日時は上記タイムテーブルでご確認ください。

本橋成一監督 過去作品集

2009-07-06(Mon) 10:56
 新作「バオバブの記憶」で舞台挨拶される本橋成一監督の、過去作品の上映が決定しました!自然と人間の関係を描き続けてきた監督の、優しい眼差しに溢れた3本。

 「ナージャの村」は、チェルノブイリ原発事故のわずか数キロ先の村に、退避勧告が出ているにも関わらず留まり続ける6家族。放射能に汚染されていても、ユートピアのように美しい自然。「生きてる限りは働かなきゃいけない」と畑を耕し、きのこを採り、自家製ウォッカを作る人々。豊かさってどんなこと?写真家ならではの映像が冴えます。
ナージャ


 続く「アレクセイと泉」も、チェルノブイリ事故で被災したベラルーシの村の話。村の畑からも、小学校跡からも放射能が検出されるが、古くからある泉からは検出されない。「今湧いている水は、百年前の水だからね」と誇らしげに村人は言う。遠く離れた星の光が地球に届くまで、長い時間がかかるように。そうすると、そのまた百年後の水は・・・。続いてゆく命の連鎖について思いを馳せます。
アレクセイ


 舞台は一転沖縄。「ナミィと唄えば」のパワフルおばあナミィは三味線一筋人生。レパートリーは幅広すぎて、人間ジュークボックスの異名をとるほど。そんなナミィが三味線片手に旅に出た! 旧友との再開、与那国島での鎮魂、どんなときでもナミィは唄う。夢は唄って踊ってヒャクハタチまで。さあみなさんご一緒に。
ナミィ


期間中は本橋監督による「バオバブ」写真展や、サイン会もございます!
もりだくさんな7/11からの上映+イベント、お楽しみに。

お知らせ

2009-07-03(Fri) 14:51
お知らせを2点ほど・・・

5月に当館で上映され、ご好評いただいた「シリアの花嫁」を、7月25日より一週間限定で再上映いたします!
前回上映の際は折しもインフルエンザ渦の真っただ中で、ご覧になりたくてもなれなかったお客様も多いかと思われます。どうぞこの機会をご利用ください。

シリア


8月15日から上映の「カンフーシェフ」前売券、劇場窓口限定特典DVD付きで発売中です。
F4のヴァネス・ウーDVDが3種、加護亜依DVD3種の計6種類。前売券1枚につきDVD1枚のプレゼント。ファンなら全種類揃えたいところですね?!
前売券1,400円、特典の数には限りがございます。お早めにどうぞ。

カンフーシェフ


それぞれの上映時間は、ページトップのタイムテーブルでご確認下さい。

かわいくない小三治

2009-06-20(Sat) 17:24
お年寄りをつかまえて「かわいい」とのたまうようになったのはいつからですかね?

言われた方もちょっと嬉しそうにしていたりすると余計鼻白んでしまいますが、このお方にそんな言葉をかけたら多分、殴られます。

泣く子も黙る落語家、真打ちの中の真打ち、柳家小三治。落語という伝統芸能の世界に身を置きながら、中野鈴本演芸場にグランドピアノを持ち込んで、趣味の声楽の発表会をしてしまったり、スキーに興じたり。いつでも新しいことに挑戦中の少年のようでいて、決して「かわいく」はない。それは「100点じゃないと気が済まない」と本人が言うように、常に本業の落語で真剣勝負をしているから。

弟子にも付き人にも厳しい、でも落語をする自分に一番厳しい師匠の芸には、やはり度肝を抜かれます。左右に首を振る度にまったく違う人物が現れる。

落語好きもそうでない方も、凄みのある高座を是非一度。

小三治

☆上映時間は上記タイムテーブルでご確認ください
 100年ぶりに太陽の黒点の活動が微弱になっているらしい。太陽の活動は黒点の多いときは活発に、少ないときは抑制されます。そして去年の夏からずっと、ひとつの黒点も見られないとか。このままの状態が続けば、地球はミニ氷河期に入るという説も。17、18世紀には毎年ロンドンのテムズ川が凍っていたそうです。その頃と同じような気候になったりして。
 温暖化から一転、寒冷化?

 映画「マン・オン・ワイヤー」を見終わったとき、なぜかこの話を思い出しました。拙い想像力では説明できない、未知なるもの。

 「マン・オン・ワイヤー」はフィリップ・プティというフランスの大道芸人についてのドキュメンタリー。彼はごく若い頃から大道芸に目覚め、世界各地を飛び回るうちに綱渡りに傾倒していく。フランスのノートルダム寺院の2本の塔の間、オーストラリアのシドニー・ハーバー・ブリッジでのゲリラ綱渡りを成功させ、次に目標に定めたのはニューヨークの今は亡きワールドトレードセンター、ツインタワー間。まだ建設途中のビルに通いつめ、構造と流通システムを研究した末、計画に賛同してくれた友人たちと共に、ツインタワーの対角線に「非合法で」綱を渡してしまう。そして地上400mに張られた一本の綱に足を踏み出す。

 多分この人はどこかが壊れてしまっているんでしょう。インタビューを見ているとただの害のなさそうな多動で陽気なおっさんなのだけど、彼の内面はきっとものすごく偏っていて孤独なのでは。選ばれてしまった人というのはみんなどこかが壊れていて、その代償として才能を与えられている気がします。その相克に悩む前に何かが彼らを動かす。

 フィリップがツインタワーのあいだを行き来したのは45分間。途中、自分を突き動かす存在に敬意を示すようにかしずく様は胸苦しいほどに美しい。誰にも理解はできない。ショーを終えて逮捕されたフィリップはマスコミや検事に「なぜあんなことをした?」と聞かれてその度に応えます、「理由はない」。

 説明することができないからこその美しさというのは畏敬と寂しさを呼びます。理解を拒むもの、絶対の孤独を甘んじて受け入れているものを見るときの、やり場のない気持ちを。

 彼は大勢の人に熱と興奮をもたらした、でもその内側はアラスカみたいに冷たい。その冷たさを思ってわたしは寂しくなります。


マンオンワイヤー


「マン・オン・ワイヤー」
●監督:ジェームズ・マーシュ(2008/イギリス/95分/エスパース・サロウ)

近日公開

ベルサイユの子

2009-05-29(Fri) 17:24
 昨年37才で急逝して世界中を驚かせたギョーム・ドパルデュー。父ジェラールとの確執、ドラッグ中毒、無謀な運転によるバイク事故で負った脚の重傷、そして切断。波乱に満ちた生涯はそのつど演じる役に反映され、有無をいわさぬ説得力を持っていました。
 特に昨年KAVCでも上映された「ランジェ公爵夫人」の孤独な激情家モンリヴォー伯爵はハマり役、というか多分素ですね。こんな人身近にいたらしんどいだろうな〜、と思いながらも、抗しがたい魅力がむんむん。そんなつれない夫人の代わりにわたしが!と申し出たかったです(即却下されそうだけど)。

 そのギョームが死の間際に主演した「ヴェルサイユの子」。社会からドロップアウトして、ヴェルサイユの森でホームレス生活をする男ダミアンが、うっかり連れになってしまった少年エンゾの面倒を見ることで、だんだん人間らしさを取り戻していく。でもエンゾは他人の子。ダミアンが悩んだ末にとった行動とは?

 実際にベルサイユ宮殿の近くの森で暮らすホームレスもいるんだそう。きらびやかな過去の遺物(異物)のそばで、明日をも知れぬ暮らしをするのはどんな気持ちがするもんでしょう。スーパーの期限切れ廃棄物のゴミ箱にはホームレス避けの劇薬が撒いてある。それを見てダミアンが毒づく、「俺たちがどれだけ欲深いっていうんだ!」妙に耳に残ります。

 エンゾの幼年時を演じるマックスくんは、写真で見るとできそこないのキューピーみたい(ごめん)なんですが、実際動いてるところはかわいいです。でもやっぱり歩くキューピーに見えて仕方ないですけど。

 ギョームが人生の最期に放つ光を見届けに来てください。
 
ベルサイユの子チラシ

 正直ホラー映画はまったくの門外漢、ほとんど見たことがないのですが(「シャイニング」は好きです。でもあれホラーじゃないか)、ダリオ・アルジェントは有名ですよね!娘アーシア・アルジェントのお父さんとして。
 というのは冗談で、カルト的な人気を誇るホラー映画界の巨匠とは知っていました。最新作「サスペリア・テルザ 最後の魔女」で、独特の美意識の炸裂っぷりを目にして、いろんな意味でショック状態。殺人シーンのこれでもかというスプラッタぶりをシネスコで見せるとことか(笑)こだわってる・・・のか?
 ただ流血量はすさまじいですが、CG製モンスター全盛の昨今にあって、あくまで生身の人間の肉にこだわった描写は牧歌的な印象すら。もちろん生理的にはかなりきついんですけど。
 エグいシーンがあるかと思えば、何となくズレた笑いを醸したりもしてます。アーシア演じる主人公が戦う魔女の手先が、日本人だったりするんですよ。あの世界観の中で日本語を聞くのは貴重な体験かと。「いま必要か!?」という美女たちのサービスショットが多いのも可笑しい。

 「サスペリア」「インフェルノ」に続く魔女三部作の完結編、どうぞお見逃しなく!

mother_tears_2_1b_convert_20090513214409.jpg
(2007/イタリア=アメリカ/98分/キングレコード)

☆上映期間・時間はページトップのタイムスケジュールでご確認ください

アライブー生還者ー

2009-05-10(Sun) 16:09
 1993年のイーサン・ホーク主演映画、「生きてこそ」。1972年に雪山で墜落した航空機に乗り合わせた若者たちが、壮絶な体験を乗り越えて生還した実話をもとにした映画でした。けれど食料がほとんどない中で、どうやって16人もの人々が2ヶ月間も長らえたのか?
 「生きてこそ」でもショッキングに描かれていたその内幕を、実際の生還者たちが、30年以上が経過した墜落現場で語るドキュメンタリー「アライブー生還者ー」。彼らは当時20歳前後だったそうなので、現在まだ50代半ばの壮年なのに、老人のように深く刻まれた皺は当時からずっと続く苦悩を物語るようです。

 実際に彼らがどうやって生き延びたのか、「その方法」を採ると決めたときの葛藤、などは実際に映画を見ていただくとして・・・。生還者たちの体験が、ちょうど今読んでいる「倫理ー悪の意識についての試論」(byアラン・バディウ)で述べられていることに偶然リンクしていて、考えさせられました。曰く、「『真理』と『世論としての倫理』は相反するもので、真理が真理である条件としては、ある出来事が作り出した新しい状況の中で不特定の担い手ないし共通の意識(任意の何者か)が立ち現れ、それが出来事に忠実であり続け、世俗の利益や保身に無関係であること。先に控える状況が既知でなく未知であること。例としてはフランス革命」

 革命のような社会的現象でなくても、一連の同じ流れが当時の彼らの中でも起きていたように思います。死ぬことの方が肉体的にも精神的にも楽だった、その中で彼らを生かそうとした「任意の何者か」と「忠実さ」。「世論としての倫理」はそれを否定するかもしれませんが、言葉では到底割り切れない状況を経験した彼らは、わたしたちが計り知ることのできない何かを共有しているかもしれません。


alive1a.jpg「アライブー生還者ー」
(2007/フランス/113分/熱帯美術館、グアパ・グアポ)

☆スケジュールは上記タイムテーブルでご確認ください
至福なミュージカル「ロシュフォールの恋人たち」もミニスカートで踊りまくってくれますが、一方、怒濤のエンタメ大作「愛のむきだし」もミニスカートで大立ち回り!キレのいいアクションが小気味いい。
目がハートになる作品を続けて上映いたします。
また、決闘つながりとして、香港ノワールの傑作「エグザイル/絆」、アレックス・コックスのシニカル頭脳派(?・笑)復讐劇「サーチャーズ2.0」。
また、「ロシュフォールの恋人たち」「エグザイル/絆」はシネスコサイズで映画の醍醐味満載です。
大型連休のひとコマに、お待ちしていま〜す。

感光する愛

2009-04-19(Sun) 16:33
ゼラチンシルバー写真:
銀塩写真。感光材料が塗られたフィルムを露光させる方式で撮影した写真のこと。

 対岸に住む美しい女を、ビデオカメラで24時間監視する男。依頼主の目的がわからないままひたすらビデオを回す男は、いつしか言葉も交わしたことのない女に魅かれるようになる。女は出かける前に必ずゆで卵を一個食べる、まるで何かの儀式のように。
 人が死ぬ現場にたたずむ女に遭遇する男。ある日女は男の前に現れて、自分は暗殺者だと言う。「わたしは美しいものが好き、例えば人の死ぬ瞬間の顔とか」
 男はテレビ画面に映した女を狂ったように、ゼラチンシルバーフィルムで撮り始める。触れられないからこその執着をもって。自分が美しいと思ったものにだけ感光する男の心に、女の姿は救いがたく焼き付けられた・・・


「見るということの中には必ずサディズムがある」と言ったのは誰だったか、でもこの場合はマゾヒズムでしょう。ふたつは表裏一体とも言われますね。

 浮世離れした設定を支えているのは、暗殺者を演じる宮沢りえの絶対に手が届かない高嶺の花感と、撮る男を演じる永瀬正敏の黙っていても滲み出るセクシーフェロモン。脇(というには豪華すぎる)を固める役所広司、天海祐希も大人の魅力で、映画の世界観を一層揺るぎないものにしています。

 繰上和美監督は、著名人のポートレートを数多く手がける写真家。これが初の映画作品ながら、人物を撮ることへの美学が存分に生かされた映像が見る人を惹き付けてやみません。

 KAVCでは6月公開。もう少々お待ちください!

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