よく寝かせた味わい深いワインのような、素敵なフランス映画が6月立て続けに上映されます。
ヌーヴェルヴァーグの巨匠、ジャック・リヴェット監督の新作「ランジェ公爵夫人」と、マノエル・ド・オリヴィエラ監督の「夜顔」。
「ランジェ公爵夫人」は、華やかなりし19世紀前半のパリ社交界を舞台に、男と女の魂を賭けた恋のシーソーゲームを描く。
お互いプライドが高いせいで、そんな恋愛しても楽しくないだろうよ・・・と呆れるくらいの駆け引きぶり。
俳優ふたりが醸し出す緊張感と、舞台劇のようなけれん味たっぷりの演出が、バルザックの原作の雰囲気を完璧なまでに再現しています。
日本語字幕もその雰囲気に引きずられたのか、何となく文語調(笑)
夫人の当時最先端ファッションの、今にも通じるモード感も楽しめて、充実の一本です。
クラシックファンなら懐かしの「昼顔」、続編ができたと言ったら見たい方は多いんでは?
貞淑な人妻が昼間だけ娼婦の顔を併せ持つ、というセンセーショナルな設定の「昼顔」。主人公セブリーヌとアンリの38年後を描いた「夜顔」は、現代のパリのセレブスポットでふたりが追いかけっこを展開。
やっとセブリーヌを捕まえたアンリは、「過去の秘密を話す」という口実でセブリーヌにディナーをもちかける。
夫に自分の「秘密」を話したのか、そればかり気になるセブリーヌはアンリに詰め寄るが・・・。
「ランジェ~」のリヴェット監督は御年80。
「夜顔」のオリヴィエラ監督は現役最高齢の100歳!!
いや~、元気ですねえ。
老いてなお、というかますます鋭い観察眼で心の機微をすくいとる大監督たちに脱帽です。
スケジュールは上記のタイムテーブルでご確認ください。

パンフレット(上)「ランジェ公爵夫人」 (下)「夜顔」
上映期間中劇場にて販売